多くの人は、ストレスがたまると攻撃的になりがちだ。
特にTwitterなどのSNSでは、以前から誹謗中傷による被害がメディアなどで取り上げられている。
最近では情報開示手続きや訴訟手続を行う人も増えているので、SNSによる誹謗中傷の被害は減少しているが、まだまだ目に余る行為が多くみられる。
これは、裁判を行うための手続きに、かなりの時間を要してしまうからだ。
情報開示手続きや訴訟手続をSNSなどを運営している海外の本社に対して、外国語で行わなければならない。
そのため、実際に行動を起こして手続きをしても、裁判まで半年や1年ほどの時間がかかってしまう。
その手間や時間を考え、訴訟に踏み切れないという人や企業も多い。
この手続きに時間がかかるのは、海外の大手IT企業が日本国内での登記を怠っているのが原因だ。
会社法という、会社の設立、組織、運営および管理について定めた日本の法律では、国内に事業実態のある外国企業は国内に法人登記をすることが義務付けられている。
この義務を海外の大手IT企業が守っていないため、手続きに時間がかかっていた。
そこに法務省が、いよいよ動き出してくれたのだ。
海外企業が日本国内で登記していない問題
日本国内での登記を怠ってきたことが問題となり、法務省から会社法に基づいて登記するように海外の大手IT企業へ通達された。
それによって、アメリカに本社を置くGoogle社とマイクロソフト社が、日本国内での登記を初めて完了した。
しかし、法務省から登記の要請を受けながらも、登記が完了していない会社もある。
それが、イーロン・マスクによる買収騒動で揺れ動いているTwitter社やFacebookを運営するメタ社、バイトダンスなどだ。
その他の海外企業でも、日本国内で登記をしておらず、上記の企業を含めて14社ほどある。
会社法に基づいた登記を怠れば、100万円以下の過料が科される。
さらに、未登記のまま国内での取引を継続した場合は、6万~9万円の過料が別に科される。
法務省では今後、裁判所に科料を科すべきだと通知することも含めて対策を検討しているそうだ。
登記をすることで、社名や会社の目的、役員の情報などが法務局に提出される。
そのため登記されることで、日本での代表者と住所が定められるため、国内の代表者に対して、発信者情報の開示請求などを起こせるようになる。
そうなれば、手続きがスムーズになり、訴訟手続もスピード化できるということだ。
SNSによる誹謗中傷だけではなく、動画投稿サイトへ違法にアップロードされている著作権法違反に対しても、発信者を特定するために行う情報開示請求など裁判手続きの利便性が向上するだろう。
以前からYouTubeなどの動画投稿サイトには、テレビ番組やラジオ番組、映画などがアップロードされていた。
最近では、Web小説投稿のテラーノベルが無断転載や著作権法違反で、話題に上がったりもしている。
便利で日常を豊かにするサービスは、私たち利用者のモラルによって利用される前提だったが、違反する人のモラルの欠如、そして自分勝手な振る舞いにより、無法地帯となっているのが現状だ。
その結果、無許可の切り抜き動画やファスト映画、漫画村などが、各業界に対して多額の損害を与えている。
制作に携わるスタッフ、そしてクリエイターを守るためにも、法務省が登記を要請して、サービス提供を行う海外企業が日本国内で登記を行うというのは、非常に大きな第一歩だと言えるだろう。
他の人もやってるから自分は大丈夫、といった軽い気持ちでアップロードしていた人に対して、裁判までの手続きがスムーズになるのは非常に嬉しいことだ。
そのことで、違法と知りながらも楽しんでいた視聴者にとっては、サービスを利用するメリットが格段に下がってしまうかもしれない。
しかし、コンテンツを楽しむために、サブスクリプション・サービスの契約やコンテンツの購入といった、正規の方法をとることになり、各業界が活性化されるだろう。
未だに法務省の要請に応じず、会社法の登記義務違反をしている企業、そして誹謗中傷や著作権法違反に対する裁判など今後どうなっていくのか目が離せない。
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今回の内容は、2022年7月28日にポッドキャストで配信されている。
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