リーチサイトの運営者が、警視庁に摘発された。
リーチサイトの摘発は、警視庁で初めてのことになるが、あまりピンと来ていない人も多いだろう。
その理由として、そもそもリーチサイトという単語を耳にしたことがないからだ。
リーチサイトとは?
リーチサイト、そしてリーチアプリと呼ばれるものは、侵害著作物を掲載したウェブサイトへのリンク情報を掲載している、Webサイトやアプリのことだ。
著作権侵害を助長するものとして、リーチサイトやリーチアプリの存在が、以前より問題になってた。
2020年の著作権法改正で、リーチサイトやリーチアプリが法律の明文で禁止され、刑事罰などの対象となったことを知らない人もいるかもしれない。
他人の著作物を無断でWebサイト上に掲載する行為は、著作権の1つ「公衆送信権」の侵害に該当し、違法となるのは理解している人は多いだろう。
(著作権法第23条第1項)
リーチサイトの何が問題か?
リーチサイトやリーチアプリは、著作権侵害に該当するWebサイトへのリンクを貼って、インターネットユーザーからのアクセスを集める。
そして、リーチサイトやリーチアプリに、アフィリエイトなどの広告ツールを設置して、利益を発生させる仕組みになっている。
つまり、運営者が広告収入を得ることを目的として、運営されているのだ。
人気コンテンツの違法リンクをたくさん貼り付けることにより、アクセス数の増加、それに伴って収益が増えるという仕組みになっているため、他人の著作物が持つ顧客誘引能力を勝手に利用して、自分が利益を得るという点で、典型的な著作権侵害行為と変わらない問題点があると言える。
そして、当然ながら、リンク先の著作権侵害コンテンツのアクセス数も増加する。
著作権侵害コンテンツをアップロードする目的は、人々の関心を集めたい、より多くの広告収入を得たい、というものなので、アクセス数が増加することにより、違法アップロードを行う人のモチベーションを高めてしまう。
そのため、違法アップロードを助長し、その件数を増加させることに繋がるだろう。
また、違法アップロードの件数が増えれば、それに伴って違法ダウンロードの件数も増える。
リーチサイトやリーチアプリは、一覧性の高い形で著作権侵害コンテンツへのリンクを提供しているため、より一層違法ダウンロードを助長する。
このような問題点を踏まえて、令和2年10月1日より、改正著作権法におけるリーチサイト規制が施行された。
著作権法におけるリーチサイトやリーチアプリの定義には、サイト運営者がページを作り込んで、侵害コンテンツへの誘導を図っている場合のほか、ユーザーによる違法リンクの掲載を促す掲示板などの投稿型サイトも含まれている。
(著作権法第113条第2項第1号、第2号)
ただし、直接的にリーチサイトの運営やリーチアプリの提供をしておらず、プラットホームを提供しているにすぎない者については、リーチサイト規制の対象外となる。
(同法第119条第2項第4号括弧書き)
一番分かりやすいところで言えば、YouTubeだろう。
違法動画をアップロードするユーザは規制されるが、YouTubeはプラットフォームを提供しているだけなので、規制の対象外ということになる。
リーチサイト運営による罰則
リーチサイト運営者やリーチアプリ提供者は、著作権法違反という犯罪行為を行うことになるため、当然ながら民事・刑事上の制裁が科される。
著作権侵害コンテンツへのリンク提供者については、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金。
リーチサイト運営者やリーチアプリ提供者については、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金。
このように、厳しい処罰が下される。
リーチ(leech)には、「他人を食い物にする」という意味がある通り、リーチサイトやリーチアプリには、他人の権利に自らタダ乗り、または他人のタダ乗り行為を助長するという大きな問題がある。
ネットを便利に利用する、私たちユーザのモラルとして、このようなリーチサイトやリーチアプリを利用しないように心がけよう!
また、今後も法改正によって、著作権侵害に対する規制強化・厳罰化の流れが進むことにも期待したい。
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今回の内容は、2022年1月27日にポッドキャストで配信されている。
ぜひともラジオ感覚で、ポッドキャストを楽しんでもらいたい。
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